『歌とシャーマン』
- 2016/01/17
- 10:44
奄美シマウタ研究会メンバーの福寛美さんが、2015年7月に『歌とシャーマン』を南方新社から出版されました。近年のシャーマン研究と、歌文化の研究を融合されて新境地をひらいています。当研究会の活動にもふれています。

『歌とシャーマン 』
福 寛美著・南方新社・2015
南海日日新聞にて仲川文子さんが紹介されていますので、一部引用させていただきます。

『歌とシャーマン 』
福 寛美著・南方新社・2015
南海日日新聞にて仲川文子さんが紹介されていますので、一部引用させていただきます。
霊力の発露としての歌声
「霊力はシャーマンでなければ見ることも感じることもできない。しかし、この世界は確かに存在する。歌声も霊性や聖性を持つことがある」
「人間の霊力の発露のひとつのあり方が歌声である」
このように述べている福 寛美著「歌とシャーマン」(南方新社刊)。本書では、瞽女(ごぜ)のシャーマン性や南西諸島のユタ神などを例に歌の力を解明している。歌い手とシャーマンとの通底する要素など踏み込んだ論が展開される。
(中略)
歌と神霊の項においては奄美の島唄研究者・内田るり子氏が解説している歌詞について論じている。
島唄の本質である神歌の霊力は、神聖な神山からノロを迎える歌といわれている「上がる日の春加那節」や、なべ加那は神高いノロであったという説もある「嘉徳なべ加那節」にみえる。そして、八月踊りが神祭りに行われる神あそびであり、神謡的色彩を持った歌詞は神にかかわる聖なる言葉との関連が色濃く出ているという内田氏の説を紹介している。
また、徳之島のシマ唄などを研究している酒井正子氏の「歌あそびは、ある意味で命がけで、他シマではそれとわからぬようにクチ(呪いのことば)を入れられたり、サカ歌(邪術(じゃじゅつ)の歌)を仕掛けられたりする。安心して掛け合えるのは、ことばを共有する同一集落の親族同士」と述べていることを引用している。
本書はシマウタ研究会で研鑽(けんさん)を積んでいる福氏の成果といえるだろう。
(仲川文子「文芸游歩(ゆうほ)」南海日日新聞、2015(平成27)年11月20日、p.4)
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