第二十四回奄美シマウタ研究会 (日本口承文芸学会第72回研究例会と合同で開催)の様子が2017年3月15日付の
南海日日新聞に掲載されました。許可を得て転載させていただきます(写真はクリックすると大きくなります)。
日本口承文芸学会
言葉は心のよりどころ
シマグチ変遷を考察
【東京支社】昔話や伝説、世間話等の伝承研究をすすめる日本口承文芸学会第72回研究例会が11日、東京・渋谷の國學院大學であった。今回は奄美シマウタ研究会(代表・酒井正子川村学園女子大学名誉教授)と合同開催。テーマは「都市語りの可能性」。シマを出た人々が故郷の言葉を忘れず、都市で口承文芸や芸能を伝承する活動に取り組んでいること、島の言葉が心のよりどころになっている事例などを紹介し、消滅危機言語とされるシマグチ(島口)の伝承を考えた。
島唄、島口に親しむ
研究例会は一般の人々も大勢参加した。講師は酒井さん。奄美諸島のシマ言葉(シマグチ、シマユムタ)の変遷を解説した。明治期以来の方言追放運動、戦後も続いた禁止教育が島民の価値観に与えた影響、1975(昭和50)年ごろより尊重、奨励へと転じ、さまざまな復権運動が行われている現状などを時系列的に考察した。
この日は島口や島唄に親しんでもらう企画も盛りだくさん。例会の冒頭、喜界島出身の吉野治子さんが大島紬姿で登場し、岩倉市郎採録の昔話をシマ言葉で語った。若手唄者の牧岡奈美さん(喜界島出身)、徳原大和さん(瀬戸内町出身)、里朋樹さん(同)はトークを交えながらのびやかな歌声を披露。東京奄美サンシン会の演奏も会場を盛り上げた。
島唄や島口への関心は高く、会場は定員を大幅に上回る約100人余が詰め掛けた。参加した人々からは「島唄は島口があってこそと実感した」「時代に翻弄される言葉の強さ、弱さを知る機会になった」と感想を述べた。
日本口承文芸学会の前理事の野村敬子さんは「とても楽しかった。多数決で物事が進行していく時代にあっても、少数派はその独自性から存在感を増している。奄美のシマグチもシマの文化に乗せて後世へ伝わってほしい」とコメントした。

島唄を楽しむ会場の人々

シマグチの変遷を考察した酒井さん=11日、國學院大學
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